あれから色んなことが起きた。
縁があり復職し、涙の別れを告げたはずの彼とまた同じ職場で再会できた。事情を知っていた同僚や先輩の計らいもありまたすぐに仲良くなれた。
気づけば以前のようにお酒を飲んで度々わたしの家で過ごした。
彼は旅行帰りにお土産を買ってうちに来てくれたし、彼の誕生日も祝えた(ひどい結果になってしまったが)。一昨年はお互い仕事に追われかなわなかった酉の市にも行けた。わたしの誕生日を今年も祝えるんだ!と喜んでくれていた。
ひたすら家にこもってドラマのファーストラブを一気見した時は、あまりにも騒ぎすぎて涙がでるほど笑ったのをいまでも思い出す。演出を我々なりに真剣に考察し夜中まで話し合った。
そんな風に過ごしていると、以前のような時間が戻ってきた気がして本当に嬉しかった。
それでも違ったことが多々あった。
彼は今度はわたしの家に荷物をひとつも置いていこうとしなかった。完全に線を引かれているんだと感じ取っていた。
ほんの少しの言葉の濁し方から、彼がわたしに隠していることがあることも気づいてしまった。わたしに嘘はつかないと言っていた彼が、嘘をついていると感じる場面が増えた。
一緒にいたいという気持ちから見ないふりをすると同時に、ずっと不安で怖くて結局関係は悪化した。
ひょんなことからそれらの疑いは確信に変わってしまい、最悪な形で再度関係が終わった。
それからの生活は地獄のようだった。
こんなにもつらい生活をまた送るのかと、毎日がいやで仕方がなかった。会社に行っても行かなくても、わたし以外の人間が彼と楽しそうに関わる様子を見聞きしてしまう。わたしが仲良くしていた多くの人達は今回の事情も全て知っていたからたくさん励ましてくれた。
それでも仕事上や、その人らと彼との間柄にわたしの苦しみは関係ない。彼と楽しそうに関わる姿を見て、恨みたくない人達を恨んでしまう自分もいやになった。
プライベートの時間が楽しいものであったのが何よりも救いだった。近所のコミュニティや地元の友達、幼馴染みとたくさん遊んで過ごした。その時はいつも彼についての苦しみが薄れていた。
それでも一日の大半を占める職場でのストレスは確実にわたしを追い込んでいた。
だんだん人に優しくできなくなり、ひとりで飲み屋に繰り出して飲みたくない量のお酒を飲み生活は乱れていった。自分の性格が曲がっていくのを感じた。ただでさえひねくれているというのに。
ずっと苦しかった。彼との最後は一方的に遮断され、わたしだけが取り残された感覚。
ひとり飲んだくれて財布もなにもかもを失くした日もあった。記憶がないまま何十万と使った日もあった。道端でひとり倒れていたところを通報されお巡りさんに大変なご迷惑をお掛けした日もあった。彼と別れる寸前の最悪な状況となにも変わっていなかった。
どうしたら状況が好転するだろうと考えていたが、答えはわかりきっていた。早く彼のいる環境から離れることだ。でもすぐにそれをしたくなかった。たかが痴情のもつれで離職するなんてことをしたくなかった。
しばらくしてから抗うつ剤と睡眠薬が欠かせなくなり、朝は起きれず職場に行けなくなる日が増えた。
それが理由だと言えないため、寝坊しちゃった~と軽口を叩いて過ごした。幸い職場でのわたしの性格やそれまでの仕事への姿勢が手助けしてくれて大目に見てもらえることが多かった。ただ、さすがにもうこれ以上は無理だとわかった。職場にも、フォローしてくれる方たちにも申し訳なさでいっぱいだった。
もういい、たかが恋愛の悩みだろうがわたしにとってはしんどかった。理由が子どもだと言われようがつらいことに変わりなかった。
無事に先月末で退職となった。少しの寂しさはあるが、えもいわれぬ解放感と安堵。これで良かったんだと思える。
今はさほどつらくないと思う。去年の今頃は彼とGWずっと一緒にいた記憶があり毎日寂しい気持ちになるが、前を向かなければいけない。
今でも毎日夢に見るほど彼のことを忘れられていないけれど、嫌だったところを思い出してなんとかバランスを取っている。
思考を止めたくない。もがくのをやめたくない。わたしはわたしのために頑張ってあげたい。
明るい未来に就職希望だわ!